高齢者人口の増加の影響で、日本では空き家の数が増大しており、空き家問題が大きな社会問題になっています。空き家をそのまま放置しておくことはデメリットでしかなく、空き家問題が具現化する前に対策を講じておくことが非常に大事になってきます。
今回は空き家問題や空き家のデメリット、家族信託について詳しくご紹介していきます。
空き家問題とは
少子高齢化や人口減少などの影響で、空き家問題が深刻化しています。以前から田舎では空き家問題がありましたが、最近は大都会でも空き家が増えており、空き家の数は増加の一途をたどっています。都会で空き家が増えている理由は、長寿化で老人ホームなどの介護施設に入所する高齢者が増えており、それまで高齢者が暮らしていた家が空き家になってしまうからです。
空き家問題は2000年代になってから深刻化しましたが、今後はさらに空き家問題が深刻になることが予想されています。内閣府の調査によると、我が国の前期高齢者(65~74歳)の総人口に占める割合は13.8%で、後期高齢者(75歳以上)の総人口に占める割合は12.9%と、日本人の4人に1人が65歳以上の高齢者になっています。今後、高齢者人口はますます多くなり、平成72(2060)年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上の超高齢化社会になることが予測されています。高齢者人口の増加と空き家の増加は比例関係にあるため、有効な対策を講じなければ今後ますます空き家が増えることは確実です。
認知症になる高齢者が増えていることも、空き家問題と密接な関係があります。親が認知症になると介護施設に入所させるケースが多いですが、親が介護施設に入所すると、親が住んでいた自宅が空き家になってしまいます。空き家を売却するにしても、親名義の空き家を子供が勝手に売却をすることはできないため、親が亡くなって相続を受けるまでは、空き家のまま放置されることになります。このような空き家問題は、親が認知症になる前に家族信託の制度を利用することで解決できます。
空き家のデメリットとは
空き家のデメリットは非常に多く、空き家をそのまま放置しておくことは大変危険です。それでは空き家のデメリットをいくつか挙げてみます。
ゴミの不法投棄
無人になった空き家にはゴミが不法投棄されることが多く、しばらく経つとゴミ屋敷になってしまいます。ゴミ屋敷になると掃除をしなければいけませんが、ゴミ屋敷の掃除を個人でするのは困難であり、特殊清掃業者に掃除を依頼することが必要になります。業者に高い料金を払って掃除をしても、しばらく経つとまたゴミ屋敷になってしまい、掃除を繰り返すことになってしまいます。
放火による火事
空き家で最も怖いのは放火による火事です。誰も住んでいない空き家は放火されることが多く、空き家が火事になると、所有者が重過失を問われるケースがあります。もし、空き家が火事になって隣近所に燃え移ってしまうと、空き家の所有者に損害賠償責任が発生することもあるので、大変なことになってしまいます。放火だけでなく、空き家に住み着いているネズミが配線をかじって火事になることも多いので、空き家の所有者は早めに対策を講じることが必要です。
固定資産税がかかる
固定資産税がかかることも空き家のデメリットで、2015年に施行された「空き家対策特別措置法」により、空き家の固定資産税が高額になる可能性があります。空き家の固定資産税の税額は更地の6分の1でしたが、「特定空き家」に指定された場合は固定資産税の特例対象からの除外され、従来よりも固定資産税が6倍に増額されてしまいます。その場合、空き家を所有しているだけで毎年高額な固定資産税を納付しないといけないため、空き家を相続した人は税負担が増大します。
家族信託とはどんな制度?
空き家問題を解決する方法として、家族信託と呼ばれる制度が注目されています。家族信託とは財産管理の手法のひとつで、不動産などの資産の所有者が、自分の子供などの家族に資産の管理と処分を任せる仕組みです。家族信託をすると、認知症になる恐れのある親が所有する住宅を子供に託し、親が認知症になった時には子供の判断で、親が所有する住宅を売却したり賃貸に供することが可能になります。早めに住宅を売却したり、人に貸すことで空き家になることはなくなるため、空き家問題の発生を未然に防ぐことができます。
家族信託で親から資産の管理と処分を受任した子供は、親が認知症になった時に住宅を売却するのではなく、住宅を賃貸に供することも可能です。住宅を賃貸に供すると家を手放さなくて済み、毎月、家賃収入が得られます。家賃収入を親の介護費用に充てることも可能ですので、介護をする側はとても楽になります。このように、家族信託を上手く利用すると空き家問題を未然に防ぐことができ、介護費用の調達にも役立ちます。
住宅を所有している親が認知症になりそうな時は、早めに家族信託を締結することが必要です。親が認知症になり判断能力が無くなると家族信託を締結することができなくなりますので、認知症の兆候が現れた時には、できるだけ速やかに家族信託を締結するようにします。家族信託は準備と手続きに時間がかかりますので、認知症の兆候が現れた時には手遅れになる場合があります。そのため、親が65歳以上になった時には、家族全員が集まって話し合いを行い、その時から家族信託の準備をしておくと慌てなくて済みます。
家族信託を締結するための手続きは自分でも行うことができますが、専門家に手続きを代行してもらうことも可能です。弁護士や司法書士、行政書士などの法律の専門家は家族信託の手続きを代行してくれますので、料金はかかりますが、スムーズに家族信託の手続きを行うことができます。家族信託の手続きは行政書士が得意としているケースが多く、弁護士や司法書士に頼むよりも行政書士の方が料金は安いでしょう。
収益化と相続税対策として家族信託を有効利用
家族信託そのものに節税効果はありませんが、家族信託で親が所有する住宅の管理と処分を任された子供は、住宅を賃貸に供すると相続税対策に繋がります。不動産の相続税評価額は相場よりも遥かに低い路線価に基いて算定されますが、第三者に賃貸している不動産だと借地権割合と借家権割合によって、さらに相続税評価額が低くなります。これにより、かなりの金額の相続税を節税することができ、子供にとっては大きなメリットになります。
また、親が所有する住宅を賃貸に供することで収益化を図ることができ、家賃収入を得ることができます。空き家対策になるだけでなく、親が所有する住宅を手放すことなく収益化が図れますので、家族信託を有効利用することで数多くのメリットが得られます。田舎にある住宅でも最近はセカンドハウスとしての需要があるため、都会で暮らしている人が借りてくれる可能性があります。いずれにしても、空き家のままだと何のメリットもないため、早めに対策を講じることが大切です。
まとめ
いかがでしょうか?
このように、空き家問題の解決に家族信託はとても有効ですので、親が認知症になる前に、家族信託を締結しておくことをおすすめします。家族信託を締結後は空き家を売却したり賃貸に供することができますが、賃貸に供する方が相続税対策になりますし、家賃収入が得られるので有利な側面があります。借り手が見つからない場合は早めに売却して、空き家問題を未然に防ぐようにすることが大切です。家族信託の手続きは行政書士が得意としているケースが多いので、家族信託に精通している行政書士に相談してみるのも有効となります。
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